見どころ

ヨーロッパで高い評価を得る韓国人監督ホン・サンスが、ソウルの冬の街を舞台に出会いや別れを繰り返す映画監督をモノクロ映像で描いた作品。

どこか無機質で淡々とした映像表現が、監督の特徴である日常と非日常の狭間にある物語を一層際立たせている。

ストーリー

元映画監督のソンジュン(ユ・ジュンサン)は、久々にソウルを訪れ、先輩ヨンホを訪ねようとするが、連絡が取れず一人で街をさまよう。

偶然再会した元恋人キョンジンと一夜を共にし、ようやく先輩に会えたソンジュンは、彼と「小説」というバーに立ち寄る。

そこで、キョンジンに似た女性オーナーに心を惹かれ始めるが…。

感想

自分はホン・サンス作品は初めて

「意味がわからない」が最初の感想。

白黒の韓国映画も初めてで、独特の雰囲気。

現代の話だが、北村という場所もあって古い映画のようにも見える。

この映画の原題は北村方面(북촌방향)北村=プクチョンは、ソウルの中心地にある観光名所、景福宮の東側にある地域で、古い町並みが残っている箇所も多い。

行ってみるとわかるが、それほど古めかしいわけでもない。ノスタルジックな痕跡の残る場所だろうか。昭和っぽいと言えるかもしれない。

自分は去年の冬、ここに行って、現地韓国人の友達とカフェで待ち合わせた。

観光客が多いのは一部の場所で観光するほどの場所でもない。

カフェは有名な場所だったらしく、満席で座れず、外で待っていて、本当に寒い思いをした。

そんなことを思い出した。

この映画は、映画らしい特別なことが起こるわけでもなく、淡々と普通の人々の会話が続く。

ただそれがどこかおかしい。

ちょっと前に言っていたことと、次にとる行動が全然違ったりする。まるで過去がなかったかのように。

そうかと思えば、気まずいことは覚えていたりする。

普通だと思っていたことが、特別な事件になってしまう。

自分にもよく経験がある。特にこの映画の舞台は韓国だから、韓国人の知り合いたちとのことを思い出す。

ある時すごく楽しく食事をした仲の子が、次に渡韓したときはなぜかよそよそしい、自分何か気に障ることをしただろうかとか。

突然知らない人に蜜柑を貰ったから、驚きつつもありがとうございますと丁寧にお礼を言ったら、「昨日も会いましたよ」と言われたとか。

コンサートで隣の席に座って親しげに話してくる人を、絶対顔は知っているのだが、どこで会ったのか思い出せず、それでもパンガウォヨ~(会えて嬉しいです)と言ってしまったりとか。

何度も脈絡もなく会ってしまう人

そんな偶然を積み重ねると、運命か何かだと思ってしまう。

人生は意味のないことの集合体、
その中から人間が選んで
理由という思考のライン(線)を作る

この映画で、ソンジュン達は、小説というバーに3回訪れる。

ママとは再会したはずなのに、字幕で「はじめまして」と言っているが、韓国語では「アンニョンハセヨ」と言っている。

韓国人からはどちらともとれる会話なのかもしれない。

彼女とかを、初めて部屋に誘うとき、この映画を見せて蘊蓄をたれると、知的なところを見せられるかも。

語りすぎると、嫌われるので要注意。

この映画を最期まで一緒に見てくれるようなら、脈あり笑。

自分はゴダールで誘われて爆睡して起きたら「殺すぞ」と言われた覚えがある。

横道にそれたが、そんな雑談をしたくなるような映画だ。

この年になると、認知症かしらと心配にもなる。

キム・ウィソンのキャラが味があって良かったな。

彼はいろいろあった後、久々の映画復帰作で、この後『新・感染』など順調にキャリアが再開されたそうだ。

豆知識

ピアノはユ・ジュンサンが本当に片手1か月ずつ両手1か月でマスターしたそうだ
コ・ヒョンジョンのカメラは彼女の私物だそう

映画情報

原題:북촌방향(北村方面)
公開年:2011年
監督:ホン・サンス

主なキャスト

ユ・ジュンサン:ユ・ソンジュン、大邱の大学教授 元映画監督
キム・ボギョン:キョンジン、元恋人/ソン・イェジョン、バー『小説』のママ
キム・サンジュン:ヨンホ先輩、映画評論家
ソン・ソンミ:ボラム、大学映画科 女性教授
キム・ウィソン:チュンウォン、ヨンホの後輩 元俳優
パク・スミン:通りがかりの女優
コ・ヒョンジョン:カメラ趣味、映画ファン
キ・ジュボン:映画制作者
ペク・ヒョンジン:音楽関係者
アン・ジェホン:映画学生
ペ・ユラム:映画学生

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