見どころ
映画監督ホン・サンス作品の長年のプロデューサーを務めていたキム・チョヒ監督の長編デビュー作。
映画作りに人生を捧げた女性の再生を描く、笑いと哀愁が入り混じった作品だ。
映画にまつわる哲学的なテーマも織り交ぜられ、観る者に深い余韻を残す。
ユン・ヨジョンが人生の知恵を語る謎めいた老婦人役で存在感を発揮し、劇中の幻想的なキャラクターや不思議な空気感が魅力だ。
ストーリー
映画監督の急死で失業したアラフォーのプロデューサー、チャンシルは、恋人も家庭もなく、映画にすべてを捧げてきた人生が崩壊する。
仕事を失った彼女は、人生の意味を見つけようと試行錯誤するなか、家事手伝いの仕事に就き、運命的な出会いを果たす。
周囲との交流を通じて、彼女は再び新たな道を見つけていく。果たして、彼女にとっての「幸せ」とは何なのか…。
感想
監督がホンサンス作品でPD(プロデューサー)をしていたこともあって、映画全体にホンサンス監督の影響が強い。
不思議な雰囲気や会話のテンポが、どこか日常の中にある非日常を感じさせられた。
劇中で日本映画、小津安二郎監督の『東京物語』を見ながら映画論について語るシーンなど、制作者の映画に対する深い愛が込められたシーンが印象的。
チャンシルの苦悩と再生が、監督の実生活と映画にかける情熱とリンクしていて、興味深い。
三枚目脇役としておなじみのペ・ユラムが王子様役として登場するのが自分的にはツボ。
さらにはキム・ヨンミンが(似てると言われているだけで?)謎に香港スターのレスリー・チャン役で出てくるなど、一見無関係に見える要素が絶妙に絡み合って、なぜか引き込まれてしまう不思議な魅力を放っている。
まあ一度見てみて。
映画情報

原題: 찬실이는 복도 많지 (チャンシルには福が多いね)
公開年: 2019年
監督名: キム・チョヒ
主なキャスト
カン・マルグム:チャンシル
ユン・ヨジョン:大家さん
キム・ヨンミン:レスリー・チャン
ペ・ユラム:王子様
ユン・スンア