見どころ
韓国社会の闇を描く衝撃的な実話を映画化した本作。実習生として働く少女の死と、その真相を追う刑事の姿を描く。監督は『私の少女』で評価されたチョン・ジュリ。
主演はペ・ドゥナと新鋭キム・シウンで、過酷な労働環境や腐敗した社会システムへの警鐘が込められている。
特に後半の刑事ユジンが真相を追及する展開は、観る者の胸に深く刻まれる。
ストーリー
高校生のソヒは、大手通信会社のコールセンターで実習生として働き始める。しかし、競争を煽る会社の方針や不当な給与体制が彼女を追い詰め、やがて遺体となって発見される。
事件を担当する刑事ユジン(ペ・ドゥナ)は、ソヒが自死へ追い込まれた背景を探り、腐敗した労働環境の実態を暴こうとする。
感想
冒頭のあらすじを読んだ時点で、この映画が暗くて重い内容だと察した。でも評価が高いし、一度は観ておきたいと思って鑑賞。
正直キツい映画は途中で止めたりすることも多いけど、この作品は意外と見やすくて、続きが気になって一気に観られた。
ただし、楽しい気持ちになる映画ではないのは確か。
現実に起こった2017年の「全州コールセンター現場実習生自殺事件」を素材にしているこの映画。
ソヒが働くコールセンターは想像以上に過酷。クレーム対応だけでなく、強引に不要な契約を取るよう強制される。
顧客に罵倒される毎日、上司からも責め立てられ、成果報酬は実習生だからと支払われない。
観ているだけで鬱になりそうな描写が続くけど、そのリアリティが痛烈に胸に刺さる。
私はコールセンターではないけど、通販サイトでの経験が蘇った。
WEB制作で入ったんだけど、人手不足で電話番もさせられた。
接客業をやってたから、理不尽なクレームは割と大丈夫。ただ精神にきたのは、売ってる商品が粗悪品だったということ。
WEB制作でも、そういう品をさも高級にみせて高く売るというわけ、当然客は怒るよね。それをだまくらかす良心の呵責がきつかったなぁ。
この映画は、日本人でも誰もが「わかるわ、あるわ」と思えるシチュエーションがあるはず。
ヘル(地獄)韓国とは、韓国人自身が自分たちの国のことを蔑称している言葉。学歴競争社会で就職難とは聞いていたけど、実態は想像以上なんだろうな。
なにより驚いたのは、学校と、日本でいう文部省、厚労省みたいな部分が機能してなくて腐りきってること。韓国は財閥解体しなかった弊害かな。
就職率のために学生を劣悪な就職先に送る?就職率だけを見て順位に応じて補助金を出す?
自殺したら動機を捏造、日本はさすがにそこまでじゃないよね…?でも兵庫県民局長の件とか、勘ぐっちゃう。
原題の「次のソヒ」という言葉が、今日明日も生まれる新たな被害者を指しているようで胸が痛む。
そりゃ出生率も下がるよね、子どもが苦労するとわかって産みたくないもの。
ペ・ドゥナが刑事として活躍する後半、ツライけど彼女がバシバシと言ってくれるので、少しは光がさす気持ちも味わえる。
屑な奴らよりも、オ・ユジンのようなが多く存在することを願わずにいられない。
どうすれば防げるか、変えられるか、この映画はそのヒントを色々と散りばめてあると思った。
この映画は観るのがつらい内容だけど、そこに描かれる課題と向き合う価値がある。より多くの人に届けたいと思える作品だった。
映画情報

原題: 다음 소희(次のソヒ)
公開年: 2023年
監督: チョン・ジュリ
主なキャスト
キム・シウン: キム・ソヒ
ペ・ドゥナ: オ・ユジン(刑事)
チョン・フェリン: コ・ジュニ(ソヒの友達)
カン・ヒョノ: パク・テジュン(ソヒの彼氏)