見どころ
『メビウス』は、全編セリフなしという異色の作品。
登場人物たちの「笑う」「泣く」「叫ぶ」といった感情表現だけで、壮絶なヒューマンドラマが描かれている。
キム・ギドク監督が得意とする独特の緊迫感と痛々しい映像が、視聴者に強烈な印象を与える。
家庭内で巻き起こる地獄のような出来事を、極限まで削ぎ落とした形で表現している点が見どころ。
ストーリー
ある上流家庭で、夫の不倫に怒り狂った妻は、夫の男性器を切り落とそうとするが失敗する。
そこで、矛先を息子に向け、彼に同様の行為を行った後、妻は家を飛び出してしまう。
息子は性器を失ったことで、性的に絶頂に達することができなくなり、父親が彼を助けようと奇妙な方法で解決を試みる。
しかし、その結果、さらなる惨劇が彼らを待ち受けていた…。
感想
キム・ギドクらしい突き抜けた世界観が全開で、セリフなしの設定にもかかわらず、物語が進むたびに痛みと狂気が増していく。
セリフがないことで、余計に視覚的な要素が際立っていて、「なんでやねん」と思わざるを得ない展開に笑いしか出ない。
ヘンテコだけど、それが逆に癖になる。
もし『STOP』でもセリフなしで作られていたら、もっっと良かったかもしれない。
あと痛いシーンが多い。ナニを切り取ってしまうのは衝撃だったけど、それを真面目に追っかけっこするのはもはやギャグ。
セリフはないが登場人物の苦悩が伝わってくるところは、俳優たちの演技力の賜物。
白いパンチラにこだわりが見られる点は、監督の個人的な趣味なんやろね。
あんなパンツ履く女、見たことないぞ笑
韓国ではMeToo運動の影響で主演女優が降板した結果、一人二役となったそう。
皮肉にもそれがかえって映画の不気味さを際立たせ、結果的に成功したみたい。
キム・ギドク監督の私生活や撮影姿勢には大いに問題はあるけれど、作品は永遠に残る。
キム・ギドク監督のご冥福をお祈りします。
映画情報

原題: 메비우스(メビウス)
公開年: 2013年
監督名: キム・ギドク
主なキャスト
チョ・ジェヒョン:父
ソ・ヨンジュ:息子
イ・ウヌ:母/女