ストーリー

長年続く独裁政権を終わらせようと立ち上がった政治家キム・ウンボム。その理念に賛同したソ・チャンデは彼を手伝いたいと近づく。

現職大統領が率いる与党に比べ、資金も人脈も圧倒的に不足している彼らの陣営はまさに不利な状況に立たされていた。そんな中、チャンデは過激で邪道な戦略を仕掛けていく。

感想

出演陣もストーリーも映像もすべてが素晴らしい!

まさに今も身につまされる内容。

『マイPSパートナー』や『名もなき野良犬の燐舞曲』を撮ったピョン・ソンヒョン監督作品。(作品の落差がすごい)

ソル・ギョング演じるウンボムは、日本で拉致された事件でも知られる金大中がモデル。幼い頃「きん・だいちゅうし~」と言っていた記憶、あの騒ぎを覚えてる。

とにかく私のギョングがかっこよすぎて…観ている間ずっと萌えが止まらなかった笑

ただ主人公はウンボムではなく、イ・ソンギュン演じるチャンデ。

実在した金大中の選挙参謀・厳昌録(オム・チャンノク)がモデルとのこと。正直、名前も知らなかった人物だった。

朴大統領役のキム・ジョンスも良かったし、チョ・ウジンの気持ち悪さはやっぱり最高。(もちろん褒めている)

そしてキム・ソンオ。あれ?本当にソンオ?爬虫類感があまりないし…でもやっぱりソンオだった。

・・・物語は、清廉潔白な政治家ウンボムと、汚い手を使ってでも当選させようとするチャンデ。

オム・チャンノクの回顧録を基にした実話なので、かなりリアルなんだろう。

チャンデのやり方は、ほとんど行き過ぎた推し活、というかN党立◯孝志のようでもある。

でも気持ちは分かる。推しを絶対当選させたい!手段は選ばん!!

ウンボムも、チャンデを最初から拒絶してたわけでもない

利用されるだけして、都合が悪くなったら日陰者扱い。

必要な時だけ呼ばれて、大事にも思ってるなんて口先だけ。
尽くしてー泣きぬれてーそして愛されてー♪
という感じ。

チャンデ「先生の座は私のおかげです」
ウンボム「私をこの座に就かせたのは国民だ」
チャンデ「国民だって?奴らなど手のひらで転がされる存在だ!」

言ってしまった…。

でも観ている側としては、チャンデにも同情できるからすっきりする部分もある。

ウンボムが正しいのはわかるけれど、正しいだけでは勝てない。

ウンボム「目的より手段を優先すれば、独裁すら正当化できてしまう」

この台詞は現代の選挙にも通じる。

デマや風説でも人はあっさり信じるし、「〇〇を取り戻す!(どこかに持っていかれているの?)」と存在しない敵を作り上げれば当選してしまう世の中。

40年、50年経っても“国民”は進化していない。

むしろ劣化しているのではと思う。

だから“国民”にこそ観てほしい映画。

でも流れてくるショート動画なんかで踊らされてしまう”国民”は、そもそもこうした作品にたどり着かないのかもしれないね。

史実としては金大中が大統領となり、正義が勝った形に落ち着く。

しかしその後の波乱万丈は、現代史を知る人にはおなじみの通り。

最後に、イ・ソンギュンさんのご冥福をお祈りします。
映画の中で、永遠に生き続ける。

起承転結

起:清く正しい政治家ウンボムに惚れ込んだチャンデ。落選し続けている彼を当選させようと選挙参謀を買って出る。

承:チャンデの言う通りしたことでトントン拍子に当選していくウンボム陣営。しかし卑怯な手を使う彼は地位を得て表だされることがない。しだいにチャンデは不満を覚える。

転:ついに大統領を狙える段階に来て、チャンデが提案した自作自演テロが発生する。

ウンボムはチャンデを切り捨て、チャンデは側に回って対立候補を大統領に当選させる。そこではチャンデの手腕を認めてもらえた。

結:時が経ち、チャンデは苦難を経て今も落選しつづけているウンボムに会い、お互いの気持を確かめる。その後、ウンボムは大統領となるが、チャンデが表舞台に出ることはなかった。

映画情報

2021年
123分

原題:킹메이커 : 선거판의 여우(キングメーカー:選挙戦の狐)
監督:ピョン・ソンヒョン

主なキャスト

ソル・ギョング:キム・ウンボム
イ・ソンギュン:ソ・チャンデ
ユ・ジェミョン:キム・ヨンホ
チョ・ウジン:イ・ジンピョ室長
パク・イナン:カン・インサン
イ・ヘヨン:イ・ハンサン
キム・ソンオ:パク秘書
チョン・ベス:イ補佐官
ソ・ウンス:スヨン
ペ・ジョンオク:イ・ヒラン
キム・ジョンス:パク・キス
ユン・ギョンホ:中央情報部キム部長

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