見どころ

韓国三大未解決事件のひとつ、大邱で起きた小学生集団失踪事件を大胆に作品化。事件の背景を韓国社会特有のやるせない空気感とともに描き出し、衝撃と余韻を残す。

真相に迫ることができない無力感が、映画を通して社会に問いかける重厚なサスペンス。

ストーリー

1991年、「カエルを捕りに行く」と家を出たまま消息を絶った5人の小学生たち。時を経て、野心あふれるテレビ局のプロデューサー、カン・ジスン(パク・ヨンウ)は、犯罪心理学者のファン・ウヒョク教授(リュ・スンニョン)の協力を得て事件に挑む。

しかし、彼らの調査は無責任な憶測を生み、多くの人々を巻き込みながら暴走していく。事件の真相が明かされることはなく、それでも事件は社会と遺族に深い傷を残したまま進行する。

感想

『カエル少年失踪殺人事件』を扱ったこの映画は、以前からずっと見たかった作品だった。だけど、配信がなく視聴の機会がなくて残念だった。今回やっと配信が始まり、早速視聴。

カエル少年というクリーチャーが出る話ではなく、カエル(実際はサンショウウオの幼生)を探しにいった少年たちが行方不明になり、11年後に白骨遺体として発見されたという痛ましい事件。

最終的に時効を迎えて未解決事件のまま終わってしまった。

その凄惨な事実をもとに、映画という形で向き合うことになる。

実話を基にしている分、冒頭の可愛らしい子どもたちの姿が、彼らが被害に遭うという確定した未来を前提にしているからとてもツライ。

事件が起きたのは1991年。日本では平成に突入していた。だけど、韓国の地方都市テグの雰囲気は昭和30~40年代のよう。

だから当時の警察や社会の状況が非常に遅れているのは容易に理解できた。

ちなみにテグは行ったことがあるけど、今はバッチリ都会です。

パク・ヨンウが演じる主人公カン・ジスンは、特ダネのためなら事実を捻じ曲げる屑プロデューサー。

ソン・ドンイルは、いかにもやる気のなさそうな怠慢刑事。

そして私のリュ・スンニョン演じるファン教授は、事件解決に寄与すると思いきや、憶測に基づいた陰謀論を押し進める浅はかな大学教授だった。

この3人のダメトリオが、それでも協力して事件解決に導いていくのかと思いきや、期待していた展開とは違った。

それがまた映画の面白さに繋がっていた。面白いというと語弊があるかもだけれど、興味深いと言うべきかな。

ラストでは遺族に向けたメッセージが流れ、この映画が訴えたかったのは、警察やマスコミに振り回された遺族の苦悩だったのだと痛感させられた。

特に、チョンホの父親役を演じたソン・ジルの演技は胸に刺さり、事件が遺族に与えた深い傷を思うと胸が痛い。

映画では犯人像をある程度描いているものの、それが解決や救いに繋がるわけではなく、子どもたちの無念さを思うと見終わった後も気持ちが重かった。

決して楽しい作品ではないけれど、この映画は事件を風化させないためにも重要な意味を持っていると思う。特に思い込みで決めつける危険さを。。

当時の空気と、この事件に思いを馳せるために見て良かった作品だった。

映画情報

原題:아이들…(子どもたち…)
公開年:2011年
監督:イ・ギュマン

主なキャスト

パク・ヨンウ:カン・ジスン(ドキュメンタリー番組PD)
リュ・スンニョン:ファン・ウヒョク(犯罪心理学教授)
ソン・ドンイル:パク・キョンシク(刑事)
ソン・ジル:チョンホの父
キム・ヨジン:チョンホの母
パク・ピョンウン:キム・ジュファン(解体業)
チュ・ジンモ:アン・サンテク(放送局部長)
チョン・ググァン:チャ・インソン(法医学教授)
ラ・ミラン:ムーダン

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